ローカルベンチマークとは何でしょうか。

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ローカルベンチマークとは企業の現状分析を行うツールでExcelで作成されています。本文では、以下について解説を行っております。
①ローカルベンチマークとは
②ローカルベンチマークを作成して企業の現状を明文化することで得られるメリットについて解説
③ローカルベンチマークの具体的な内容


目次は次の通りです。
1.ローカルベンチマークとは
2.企業の現状分析を行うメリット
3.経営力向上計画に記載する内容

1.ローカルベンチマークとは

経済産業省が作成した企業の現状を分析するためのツールです。財務、商流・業務フロー、企業を取り巻く環境などから現状を分析します。
ローカルベンチマークに関する情報はこちらに掲載されています。

2.企業の現状分析を行うメリット

事業計画書などがなければ経営が属人化してしまいます。金融機関や経営をサポートする右腕などの援助が不要であればそれでも構いませんが、ある一定規模以上で経営を行うには、経営の見える化が必要です。経営の見える化を行うことにより、具体的には以下のようなメリットが得られます。

1)金融機関からの融資

最も直接的で短期的な効果は、金融機関などからの融資に繋がる可能性がある事です。金融機関が企業に融資を行う場合に、その企業の事業の将来性を把握する必要があります。そのため、融資を申込む際には単に決算書を開示するだけではなく、その企業の将来性をアピールする必要があります。その際のツールとして活用できます。

2)従業員の経営への参画

従業員が10名程度までであれば、オーナー経営者が各従業員と直接に関わり組織として稼働することは可能でしょう。しかし、従業員が10名を超えると1人1人と常に直接に対話をしながら経営を行うことは難しくなります。その場合、通常は経営の組織化を行います。具体的には営業部など部課を作成して、ある部分の業務管理などを部課長に任せることになります。部課長に業務の一部を任せるということは、部課長をある部分で経営に参画させることになりますから、部課の目標や課題などについて情報を共有する必要があります。ローカルベンチマークはその際のツールとして利用できます。

さらに、仕事は指示されるだけでは面白味がわきません。各従業員を経営にどこまで参画させるかは、仕事の種類や各従業員の資質にもよるかと思いますが、少なくとも自身の部課の仕事や自身の仕事に対して、自ら目標を決めて仕事に取り組む方が仕事にも面白味ができ、積極的に仕事を行うようになり、定着率にも良い結果がもたらされる可能性が高くなります。

3)経営者の任命の可能性

オーナー経営者が経営から身を引き別の経営者に会社の運営を任せたい場合に、オーナー経営者の会社の方向性を何らかの形で経営者と共有するツールが必要です。共有したい内容が2・3点ならば口頭でも可能かもしれませんが、会社経営の場合にはもっと多くの事を共有する必要があるため文書化が必要です。その際にローカルベンチマークを活用することができます。情報が共有できれば、定期的に進捗状況の報告・確認を行えばよく、オーナー経営者は他の業務などを行う時間ができます。


3.ローカルベンチマークの内容

ローカルベンチマークはExcelで作成されています。入力するシートは3つあります。以下に夫々のシートについて解説をします。

1)財務分析

財務分析に関しては、左下にあるようにBSやPLの代表的な勘定科目を入力すると
売上増加率、営業利益率、労働生産性、EBITDA(イービットディーエー)有利子負債倍率、営業運転資本回転期間、自己資本比率 を自動的に計算されます。

財務分析

図1,財務分析シート

労働生産性の計算は通常は以下で求められることが多いです。
付加価値額/労働者数

付加価値額とは商品やサービスに付与された価値で、加工などで付け加えられた価値のことです。主な計算式は2つあります。
1つ目は控除法では
付加価値 = 売上高 - 外部購入価値
より計算されます。外部購入費には、材料費、購入部品費、運送費、外注加工費が含まれます。
2つ目は日銀方式で
付加価値 = 人件費 + 経常利益 + 賃借料 + 金融費用 + 租税公課
より計算されます。これらの計算方法では、非常に複雑なのでローカルベンチマークでは労働生産性は
営業利益/従業員数
より求めます。本来の労働生産性の意味からは少しずれるかもしれませんが、決算書の科目から簡単に計算するという意味では非常に効果的です。

指標、指標の分類、計算式は以下の通りです。
売上増加率(売上持続性)(最新期売上高/前期売上高)-1
営業利益率 (収益性)  営業利益/最新期売上高
労働生産性(生産性)   営業利益/従業員数
EBITDA有利子負債倍率( 健全性)        (借入金-現金・預金)/(営業利益+減価償却費)
営業運転資本回転期間 (効率性)   (売上債権+棚卸資産-買入債務)/(売上高/12)
自己資本比率(安全性) 純資産/負債・純資産合計

注)
売上債権:売掛金+受取手形、買入債務:買掛金+支払手形

また、上記の指標は所属業種の一般データとも比較されます。下記は「図1,財務分析シート」で該当する業種に対する企業のランク基準に該当する部分をキャプチャしたものです。
指標に関する企業のランク基準
図2.企業のランク基準

なお各ランクは次のような意味を持っています。
ⅰ       上位7%の基準
ⅱ     上位31%の基準
ⅲ     上位69%の基準
ⅳ     上位93%の基準

2)商流・業務フロー

「商流・業務フロー」シートでは、上段では自社の業務がどのようなプロセスを経て顧客に提供されるかを記述します。

商流・業務フロー

図3.商流・業務フロー

上段の「業務」欄には業務名を記述します。業務名は、その下段で、「実施内容」「差別化ポイント」を記載していくのですが、特に差別化ポイントが重要です。差別化ポイントを意識しながら、自社の仕事の流れを分割して業務名として記載すれば良いかと思いますが、業務名が思い浮かばないかもしれません。その場合のために、下記のように業種毎の業務フロー例が例示されていますので、その内容を参考にすると良いでしょう。このように、ツールだけでなく、マニュアル等が充実しているのもローカルベンチマークの良いところです。

業務フロー例

図4.業務フロー例

「図3.商流・業務フロー」下段では、仕入先、協力先、得意先、エンドユーザーなど商流について記載します。この部分は主に外部の方に自社を説明するためと考えれば良いかと思います。

3)現状認識、将来目標、課題、対応策

「4つの視点」シートでは「図5.4つの視点」の通り、現状認識、将来目標、課題、対応策をまとめます。少し文字が見にくいかもしれません。上段の現状の認識の欄では①経営者、②事業、③企業を取り巻く環境・関係者、④内部管理体制、と4つのカテゴリに分類されています。シート名になっている4つの視点とは、この内容を指していると思われます。

4つの視点
図5.4つの視点

①経営者では以下の内容について記入します。
経営理念・ビジョン・経営哲学・考え・方針等
経営意欲 ※成長志向・現状維持など
後継者の有無、後継者の育成状況、承継のタイミング・関係

②事業では以下の内容について記入します。
企業及び事業沿革 ※ターニングポイントの把握
強み 技術力・販売力等
弱み 技術力・販売力等
ITに関する投資、活用の状況、1時間当たり付加価値(生産性)、向上に向けた取り組み

③企業を取り巻く環境・関係者では以下の内容について記入します。
市場動向・規模・シェアの把握、競合他社との比較
顧客リピート率・新規開拓率、主な取引先企業の推移、顧客からのフィードバックの有無
従業員定着率、勤続年数・平均給与
取引金融機関数・推移、メインバンクとの関係

④内部管理体制では以下の内容について記入します。
組織体制、品質管理・情報管理体制
事業計画・経営計画の有無、従業員との共有状況 、社内会議の実施状況
研究開発・商品開発の体制、知的財産権の保有・活用状況
人材育成の取り組み状況、人材育成の仕組み

4つの視点に関して、記述するエリアが小さすぎるように思います。この枠内では収まりきらないかと思いますので、セルの高さを広げるなどして記入することをお勧めします。

「図5.4つの視点」の下部では現状認識、将来目標、課題、対応策を記述します。課題、対応策欄に関してもこの枠内では小さすぎるかと思います。セルの高さを広げるなどして入力する必要があります。この部分は事業計画書に該当する部分になるかと思います。


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